コラム

日傘を考える

2023.10.04

「光老化」啓発プロジェクト委員会では、2023年8月に認知度調査を行い、紫外線対策に関するアイテムについてのアンケートを実施しました。そのアンケート結果より日傘に関連した項目を抜粋してご紹介します。

 

<調査の概要>

 

調査方法 インターネット調査
調査期間 2023年8月
調査対象 15~60代まで各年代均等に抽出した312名(男性156名、女性156名)

 

 

日傘のメリット

 

昨今、環境省が活用を推進し(文献1)、普及啓発用のPOPを作成するなど(文献2)、暑さ対策のアイテムとして日傘が普及してきています。

 

 

日傘を使用することのメリットとして、

紫外線が直接肌にあたるのを防ぎ、光老化予防対策となる
体表面の温度の上昇を防ぎ、暑さなどから起こる熱中症を防ぐ

などが挙げられ、全国各地で猛暑日日数や連続真夏日の記録を更新した今年は、特に利用している人が多い印象を受けました。

この日傘について、「光老化」啓発プロジェクト委員会では、使用の実態や選ぶ時に重視する項目のアンケートを実施しました。

 

日傘を使用する男性は16%

 

この夏に紫外線対策として、常にもしくは時々日傘を使用していると回答した人は、男性16.0%、女性71.2%でした。

 

 

割合としてはまだ女性の4分の1以下ですが、男性だからといった固定観念にとらわれずに、使用している人が増えていることが解りました。

 

日傘に求めるのは遮熱効果と紫外線カット効果

 

ではこの日傘は何を基準に選んでいるのでしょうか。この設問は4つの選択肢の中より選んでいただく形式です。

 

 

遮熱効果を重視する人が40.4%、紫外線カット率を重視する人が39.1%と、近赤外線カット率やUPF表示を重視する人の2倍以上となりました。日焼け対策における「近赤外線」、「UPF」といった言葉がまだまだ馴染みがないのではないのかもしれません。

 

近赤外線にも注目

 

それではこの設問のおさらいです。

概要 評価基準
遮熱 光を反射させて吸収しないようにし、温度の上昇を防ぐ。 日本洋傘振興協議会では、遮熱指数の試験で指数35%以上の遮熱性能を持つ日傘としている。
紫外線 長時間無防備に浴びると、しみ・しわ・たるみ更には皮膚がんを生じる光老化の原因となる。
SPF UVBを防ぐ効果を表す。 数値の範囲は1~50で、数値が大きいほど防御効果が高い。最大50+。
PA UVAを防ぐ効果を表す。 PA+~PA++++の4段階あり、+が多いほど防御効果が高い。
近赤外線 皮下組織や筋膜まで届き、肌の奥深くでコラーゲンやエラスチンを変性させる。また太陽光を浴びて感じる肌のじりじり感のよう、皮膚表面の温度を上昇させるといわれている。 カット率はSNIP(スニップ)という4段階の評価基準で表す(文献3)。SNIP3で50%以上の遮断率となる。
UPF UltraViolet Protection Factorの略称で、生地が紫外線を防ぐ効果を表す指標。 数値の範囲は15~50で、数値が大きいほど防御効果が高い。

 

遮「熱」と書くものの実際は光を反射させる効果のあるもので、これを含むと遮熱、紫外線、近赤外線、UPFの4つ全てが日焼け対策に関わっており、しいては光老化の予防につながります。
使用シーンや用途に合わせ適切な日傘を選び、日傘も上手に活用していくと良いでしょう。


文献1
環境省報道発表資料(2021年07月20日)
熱中症警戒アラート、日傘レンタルサービス及び天気アプリとの連携について
https://www.env.go.jp/press/109815.html(accessed 2023-10-04)

文献2
平成31年度 暑熱環境に対する適応策調査業務報告書
3.個人における適応策の推進
https://www.env.go.jp/air/report/h31-01/31.html(accessed 2023-10-04)
https://www.env.go.jp/content/000074922.pdf(accessed 2023-010-04)

文献3
平松 泰成, 倉持 正博, 川島 眞: サンスクリーン剤の近赤外線遮断効果の測定法と遮断効果評価基準(SNIP). Aesthetic dermatology, 29 (3), 233-238, 2019-09.

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