コラム

男性の肌は紫外線の影響を受けやすい

2022.07.08

男性の肌は紫外線の影響を受けやすい

男女間で最小紅斑量(minimal erythema dose;MED)を比較した試験で男性のほうが女性に比べ紫外線に対する感受性が高いことが確認されています。20代男女の紫外線曝露をほとんど受けていないと考えられる上腕内側を試験部位とし、紫外線照射によるMEDの測定を行った結果、男女間で照射前の皮膚色に差はありませんでしたが、MEDでは男性111mJ/cm2、女性143mJ/cm2 と男性が女性に比べ有意に低い結果となりました。すなわち紫外線感受性は男性のほうが高いことが確認されています。

※最小紅斑量:実際に肌に紫外線を照射して、どのくらいの紫外線のエネルギー量で日焼けするか(肌が赤くなるか)を評価する試験

男性は皮膚トラブルや肌老化が起こりやすい。

男性は女性に比べ保湿、洗顔、紫外線対策などのスキンケアに対する意識が低いことに加え、皮膚の生理からみても男性は女性よりも皮膚トラブルや皮膚老化が起こりやすいといえます。光老化対策において、男性は日常的に日焼け止め製品を使用する習慣はきわめて低く、屋外でのスポーツやレジャーの時も日焼け止め製品の使用率は低い状況です。日光角化症、老人性色素斑、皮膚癌等の発症率も男性が女性を上回っているのも、紫外線の感受性が高いにもかかわらず十分な紫外線対策を行っていないことも大きな要因といえます。

また皮脂の分泌では、男性は男性ホルモン(テストステロン)作用により思春期から盛んになり、女性に比べ2倍以上の皮脂が分泌されます。女性は成人後は加齢とともに皮脂分泌は減少していきますが、男性は30歳前後をピークにその後も微減程度で50代まで盛んに皮脂分泌が行われます。皮膚の保湿に関しては、経表皮水分蒸散量が男性では高い傾向にあり、角層水分量は低くなります。このため、男性の肌質の傾向として脂性肌または乾燥型脂性肌が多くなります。
劣化した皮脂に含まれる脂肪酸は肌荒れの原因となること、正しい洗顔、洗顔後の保湿の実施率も男性では低いことも関係していると考えられます。

男性も基本的なスキンケアの実践を

さらに、女性と異なり男性が行う肌に対する習慣として髭剃りが挙げられます。髭剃りは皮膚表面に小さな傷をつくり、角層を剝離し皮膚のバリア機能を乱す行為でもあるめ、日々のスキンケアとして髭剃り後の保湿を十分に行わなければ皮膚ダメージが蓄積されていきます。

近年は、男性の美容意識は若い層を中心に高まりつつありますが、まだまだその意識は低いと思います。皮膚の健康維持の観点からも基本的なスキンケア(洗顔・保湿・紫外線対策)に対する意識の醸成が男性全体に必要でしょう。

1) 長沼雅子、八木栄一朗、山瀬由記、福田實。紫外線感受性の性差。日皮会誌1995;105:1427-30。

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